2016年6月17日号 3144号

280円(税込)

定価 280円(税込)

▼特集▼
金守珍・西堂行人=対談 演劇史の中で蜷川幸雄の仕事を検証する<追悼 蜷川幸雄>
  

★日本を代表する演出家・蜷川幸雄が五月十二日に亡くなった。八〇歳だった。二十歳で演劇の世界に入り、「真情あふるる軽薄さ」(清水邦夫作)で演出家デビューして以来、「王女メディア」「近松心中物語」「NINAGAWAマクベス」など、三〇〇作品以上を演出。実に六〇年を舞台とともに生き、駆け抜けた大演劇人・蜷川幸雄について、蜷川、唐の両氏のもとで演劇を学び深い交流のあった新宿梁山泊代表の金守珍(きむ・すじん)氏と元近畿大学教授で自著『[証言]日本のアングラ 演劇革命の旗手たち』(作品社)で蜷川幸雄を取り上げている演劇評論家の西堂行人氏に対談していただいた。  また、金守珍氏は、蜷川氏が演出する予定だった東京・渋谷のシアターコクーン八月公演「ビニールの城」(唐十郎作)の演出を担うことが五月二六日発表された。同公演は、「芸術監督蜷川幸雄・追悼公演」「蜷川幸雄監修」として、八月六〜二九日にかけて上演される。

★にながわ・ゆきお(一九三五〜二〇一六)=演出家。五五年劇団青俳に入団。六八年、故・蟹江敬三、石橋蓮司らと現代人劇場を結成、翌年「真情あふるる軽薄さ」(清水邦夫作)で演出家デビュー。七二年、演劇集団「櫻社」を結成、「ぼくらが非情の大河をくだる時」(清水邦夫作)公演で旗揚げ、七三年「泣かないのか?泣かないのか一九七三年のために?」(アートシアター新宿文化)を最後に新宿撤退宣言。七四年「ロミオとジュリエット」を演出し大劇場進出、同年「櫻社」を解散する。以降、国内外の現代劇から近松門左衛門、シェイクスピア、ギリシャ悲劇など約三〇〇作品を手掛けた。八三年、「王女メディア」ギリシャ・ローマ公演で初の海外進出、国際的評価を獲得。七九年第四回菊田一夫演劇賞、八八年「近松心中物語」で第三八回芸術選奨文部大臣賞をはじめ受賞歴多数。〇四年文化功労者、一〇年文化勲章。彩の国さいたま芸術劇場芸術監督。
   

<主なコンテンツ>
1:蜷川幸雄は何と闘ってきたのか
2:唐十郎に出会うまで新劇と千田是也
3:神話化を拒絶し、過去を解体する
4:語られなかった言葉 幻の弔辞
5:蜷川幸雄の真の評価とは
6:理想的な父親像 晩年のリア王と道化

★きむ・すじん氏=俳優・演出家。蜷川教室で蜷川幸雄に師事、その後唐十郎の「状況劇場」を経て「新宿梁山泊」を創立。「千年の孤独」でテアトロ演劇賞。初監督の日韓合作映画「夜を賭けて」で毎日映画コンクール新人監督賞など。新宿梁山泊代表。一九五四年生。
★にしどう・こうじん氏=演劇評論家。現代演劇を中心にアングラ・小劇場運動を理論化、独自の演劇論を展開。『劇的クロニクル』(論創社)『[証言]日本のアングラ』(作品社)など著書多数。一六年三月まで近畿大学文芸学部舞台芸術専攻教授。一九五四年生。

《今週の書評》
■4面〈学術・思想〉
▽田口卓臣著「怪物的思考」(講談社)
評:大橋完太郎(おおはし・かんたろう氏=神戸大学准教授・哲学・美学・表象文化論専攻)

▽板倉史明著「映画と移民」(新曜社)
評:鷲谷花(わしたに・はな氏=成城大学非常勤講師・映画学・日本映画史専攻)

▽三浦信孝編著「戦後思想の光と影」(風行社)
評:鈴木正(すずき・ただし氏氏=思想の科学研究会会員)

▽小熊正久・清塚邦彦編著「画像と知覚の哲学」(東信堂)
評:小手川正二郎(こてがわ・しょうじろう氏=國學院大學准教授・フランス哲学・現象学専攻)


■5面〈文学・芸術〉
▽真銅正宏著「触感の文学史」(触感の文学史)
評:伊藤氏貴(いとう・うじたか氏=文芸評論家)

▽北川秋雄著「佐多稲子研究(戦後篇)」(大阪教育図書)
評:矢澤美佐紀(やざわ・みさき氏=法政大学・千葉工業大学非常勤講師・日本文学専攻)
佐多稲子研究(戦後篇)
▽ゲオルギイ・コヴェンチューク著「8号室」(群像社)
評:沼野恭子(ぬまの・きょうこ氏=東京外国語大学教授・ロシア文学専攻)

▽浅沼璞著「俳句・連句REMIX」(東京四季出版)
評:佐藤勝明(さとう・かつあき氏=和洋女子大学教授・日本近世文学・俳文学専攻)


■6面〈読物・文化〉
▽吉田律人著「軍隊の対内的機能と関東大震災」(日本経済評論社)
評:鈴木淳(すずき・じゅん氏=東京大学大学院教授・日本近代史専攻)

▽栗原康著「村に火をつけ、白痴になれ」(岩波書店)
評:西野智紀(にしの・ともき氏=書評家)

▽市川浩編著「科学の参謀本部」(北海道大学出版会)
評:富田武(とみた・たけし氏=成蹊大学名誉教授・ソ連政治史・日ソ関係史専攻)

▽植田康夫編「戦後史の現場検証」(創元社)
評:水口義朗(みずぐち・よしろう氏=文芸評論家)


《今週の読物》
■1面=誰も見ていないから<第2回>/伊原信次(いはら・しんじ氏=画家)
(油彩、キャンバス/91.0×72.7cm/2015年)
「画家にとって絵のモデルを探すことは、恋人を探すことほどに難儀である。」

■3面
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側<245>/横尾忠則(よこお・ただのり氏=美術家)
◎死後も生きる!? ぼくの<痛み>。遅れてきた初夢

◇連載=現代短歌むしめがね<42>コンピュータ編/山田航(やまだ・わたる氏=歌人)
◎「たすけて」は認識されずGoogleは「マツタケ」のWikipediaを映す/木下龍也『きみを嫌いな奴はクズだよ』(2016)

◇連載=漢字点心<186>/円満字二郎(えんまんじ・じろう氏=編集者・ライター)
◎「央」

◇連載=読写!一枚の写真から<41>/岩尾光代(いわお・みつよ氏=ジャーナリスト)

◇連載=あの人に会いたい「アジアの布の魅力を紹介する・江波戸玲子(上)」/江原礼子(えはら・れいこ氏=フリー編集者・ライター、イベントプロデューサー)
★“着物”と言えば、和文化の象徴で、古くから伝わる日本の伝統技術を駆使して出来上がるもの――。そんなとらえ方が一般的だが、江波戸玲子さんの立ち位置は違っている。ラオスやカンボジアで暮らす人たちの手によって生み出される布を、着尺や帯、バッグなどにして日本文化と融合させ、アジアの布の魅力を多くの人に知ってほしいと、細やかな工夫を日々積み重ねている。

■7面
▽大宅壮一文庫・大宅映子氏に聞く(上)/森彰英(もり・あきひで氏=フリーライター)
◎大ジャーナリストの遺産、その有効活用をよびかける

◇連載=ともかくスケッチ<41>(長友啓典)
◎ルーティンこそ大切

■8面
「J・G・バスケスを芥川賞と読む」レポート
★<ガルシア=マルケスの再来>との呼び声も高い、コロンビア出身の作家フアン・ガブリエル・バスケスの長篇小説が二作同時に翻訳刊行された。『コスタグアナ秘史』(水声社)と『物が落ちる音』(松籟社)である。ノーベル文学賞作家バルガス=ジョサは、『コスタグアナ秘史』に対して、「新しいラテンアメリア文学の最も創造的な声」であると評した。今、世界が最も注目するラテンアメリカ作家バスケスの作品をめぐって、四月二六日、東京外国語大学総合文化研究所で、講演会「J・G・バスケスを芥川賞作家と読む」(主催=同研究所)が開かれた。講師は、作家・小野正嗣氏と、二作をそれぞれ翻訳した久野量一氏と柳原孝敦氏。講演会の模様をレポートする。

<主なコンテンツ>
1:ピグリアからバスケスへ
2:ナルコ・ノベーラ
3:大きな問いを含む主題
4:語り口と物語の展開力
5:ガルシア=マルケスの影響

★フアン・ガブリエル・バスケスは一九七三年、コロンビアの首都ボゴダに生まれる。ロサリオ大学卒業後、フランスに留学。パリ大学においてラテンアメリカ文学で博士号を取得。二〇〇四年に『密告者』、二〇〇七年に『コスタグアナ秘史』を刊行。三作目の『物が落ちる音』でアルファグラ賞を受賞。
★おの・まさつぐ氏は作家。二〇一五年『九年前の祈り』で芥川賞受賞。著書に『獅子渡り鼻』等。一九七〇年生。
★やなぎはら・たかあつ氏は東京大学准教授・スペイン語文学専攻。訳書に『春の祭典』等。一九六三年生。 ★くの・りょういち氏は東京外国語大学准教授・ラテンアメリカ文学専攻。訳書に『崖っぷち』等。一九六七年生。

◆次号<6月24日号>予告 柄谷行人ロングインタビュー『憲法の無意識』(岩波書店)をめぐって
(8頁・定価280円)

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