姜尚中×宮台真司×堀内進之介<「感情」が動員される社会を生き抜くには
堀内新之介著『感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか』(集英社)刊行記念鼎談載録
★「カモられるな!」という帯の赤字が目に飛び込む。「感情で釣られる人々」とは私たちのことだ。SNSでの炎上は商法に発展し、労働の場での過剰なサービス精神の強要、選挙戦では有権者の感情を刺激する候補者が優位に立つ。理性よりも「感情」に訴える現象に私たちは取巻かれている。九月十三日、ジュンク堂書店池袋本店で、『感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか』(集英社)の刊行記念鼎談が行われた。登壇者は本書の著者で政治社会学者の堀内進之介氏と政治学者の姜尚中氏、社会学者の宮台真司氏。政治・社会における感情動員の歴史を探り、我々が感情で釣られぬため、「冷静に考える」ための処方箋について語る。その内容を載録させていただいた。
<主なコンテンツ>
1:感情を梃子(てこ)に、国や社会や会社に都合よく動員されぬために。
2:『コンビニ人間』が描く現実、誤作動する民主政に抗うには?
3:ナッジ(nudge)―賢い自分が愚かな自分をいかにケアするか
4:全ての起点に感情がある、人間が自動機械であることから逃れるには
5:自分たちの心の働きと、それを前提に構築された社会システムを知る
6:言葉におびえ言葉にすがる浅ましき者、不安は理性が自由な証
★かん・さんじゅん氏=政治学者。東京大学名誉教授。専攻は政治学・政治思想史。著書に、『悩む力』『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ』『ナショナリズム』他多数、小説作品に『母―オモニ―』『心』。一九五〇年生。
★みやだい・しんじ氏=社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。社会学博士。著書に『社会という荒野を生きる。』『中学生からの愛の授業』『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』『終わりなき日常を生きろ』他多数。一九五九年生。
★ほりうち・しんのすけ氏=政治社会学者。現代位相研究所・首席研究員。青山学院大学大学院非常勤講師。専門は政治社会学・批判的社会理論。単著に『感情で釣られる人々』『知と情意の政治学』、共著に『人生を危険にさらせ!』『悪という希望』他多数。一九七七年生。
《今週の読物》
■1面=誰も見ていないから<第16回>/伊原信次(いはら・しんじ氏=画家)
■3面
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側<260>/横尾忠則(よこお・ただのり氏=美術家)
◎『怪人二十面相』と、大人になりそこなった誇り
◇連載=現代短歌むしめがね<56>犯罪編/山田航(やまだ・わたる氏=歌人)
◎トナカイがオーバーヒート起こすまで空を滑ろう盗んだ橇で / 穂村弘『ドライ ドライ アイス』(1992)
◇連載=漢字点心<200>/円満字二郎(えんまんじ・じろう氏=編集者・ライター)
◎「皕」※ヒョク
◇連載=文芸同人誌評/白川正芳(しらかわ・まさよし氏=文芸評論家)
◎幅広い題材で活発な議論を呼ぶ評論 月村敏行「「人間―人類」論における生物学的序説」
◎植物に知恵はあるか、問うエッセイ 山谷渉「植物の知恵」
◇レポート=講談社 児童文学新人賞・絵本新人賞 贈賞式
■4面
◇連載=論調<10月>/大野光明(おおの・みつあき氏=日本学術振興会特別研究員PD・歴史社会学・社会運動論専攻)
◎「内なる優生思想」に向き合う ―相模原殺傷事件をめぐって―
■5面
◇連載=文芸<10月>/友田健太郎(ともだ・けんたろう氏=文芸評論家)
◎既成概念の転倒を狙う松田青子 書くべきものを持っていると思わせる高橋有機子
■7面
▽矢崎泰久氏インタビュー「永六輔の伝言」
◇集中連載4=吉見俊哉・室井尚『文系学部解体』VS『「文系学部廃止」の衝撃』
◇レポート=第23回 東京国際ブックフェア(TIBF)開催レポート
◇出版メモ=
◇田原総一朗の取材ノート/田原総一朗(たはら・そういちろう氏=ドキュメンタリー作家)
◎レンホーミクスが打ち出せるか
■8面
ケント・ギルバード×三浦瑠麗×小谷賢×猪瀬直樹/日本文明研究所シンポジウム載録
<グローバル化と国家>
英国のEU離脱と米大統領選挙、これから日本が進むべき道
★十一月八日に投票日が迫る米大統領選挙。クリントン候補とトランプ候補のどちらに決まるか、日本への影響も取りざたされている。日本文明研究所第五回シンポジウムは、「グローバル化と国家―英国のEU離脱と米大統領選挙を踏まえた今後、日本が進むべき道」と題し、八月二十四日に東京・渋谷の日本経済大学で行われた。パネリストは米カリフォルニア州弁護士でタレントのケント・ギルバート、国際政治学者の三浦瑠麗、日本大学危機管理学部教授の小谷賢の三氏で、モデレーターを作家で当研究所所長の猪瀬直樹氏が務めた。侃々諤々の議論の一部を載録する。
<主なコンテンツ>
1:トランプは大統領になるのか、人気のその理由
2:アメリカ政治のズルズル感とトランプの思い
3:1930年代と現代の近似、EU離脱と移民問題
4:自由の許容、資本主義とは修正していくもの
★ケント・ギルバート氏=米カリフォルニア州弁護士、タレント。近著に『いよいよ歴史戦のカラクリを発信する日本人』他。一九五二年生。
★みうら・るり氏=国際政治学者。法学博士。東京大学政策ビジョン研究センター講師。著書に『日本に絶望している人のための政治入門』『シビリアンの戦争』。一九八〇年生。
★こたに・けん氏=日本大学危機管理学部教授。防衛研究所戦史研究センター主任研究官・防衛大学校講師。著書に『インテリジェンスの世界史』他。一九七三年生。
★いのせ・なおき氏=作家、大阪府市特別顧問、日本文明研究所所長。二〇一三年東京都知事辞任。著書に『民警』『救出』他。一九四六年生。
《今週の書評》
■4面〈学術・思想〉
▽ティモシー・スナイダー著「ブラックアース」上・下(慶應義塾大学出版会)
評:芝健介)(しば・けんすけ氏=東京女子大学教授・ドイツ近現代史専攻)
▽平芳幸浩著「マルセル・デュシャンとアメリカ」(ナカニシヤ出版)
評:仲世古佳伸(なかせこ・けいしん氏=アートディレクター)
■5面〈文学・芸術〉
▽英米文化学会編「英米文学にみる検閲と発禁」(彩流社)
評:大田信良(おおた・のぶよし氏=東京学芸大学教授・英文学専攻)
▽莫言著、林敏潔編「莫言の文学とその精神」(東方書店)
評:谷川毅(たにかわ・つよし氏=名古屋経済大学教授・中国現代・当代文学専攻)
■6面〈読物・文化〉
▽谷口江里也編著、ギュスターヴ・ドレ挿画「旧約 聖書の世界」(未知谷)
評:江川純一(えがわ・じゅんいち氏=東京大学大学院人文社会系研究科助教・宗教学宗教史学専攻)
▽児玉博著「堤清二 罪と業」(文藝春秋)
評:新井信(あらい・まこと氏=編集者)
▽鈴木嘉一著「テレビは男子一生の仕事」(平凡社)
評:松山秀明(まつやま・ひであき氏=東京大学大学院情報学環特任助教/社会学・メディア論専攻)
▽沖島勲著「モノローグ」(書肆子午線)
評:福間健二(ふくま・けんじ氏=詩人・映画監督)
▽川名紀美著「井村雅代 不屈の魂」(河出書房新社)
評:山口理恵子(やまぐち・りえこ氏=城西大学准教授・経営学部)
◆次号<10月14日号>予告
セバスチャン・ルシュヴァリエインタビュー・来日記念講演載録
<日本資本主義の大転換>
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