2016年12月2日号 3167号

280円(税込)

定価 280円(税込)

《特集》
二宮敦人×永山裕子×木下史青 「秘境」とは「生きる」場所とみつけたり
『最後の秘境 東京藝大』(新潮社)スピンオフ

 今秋、ホラー、ミステリ作家の二宮敦人氏が、ノンフィクション『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(新潮社)を上梓。現在8刷10万部。編集担当者によれば「増刷した端から、溶けるようになくなる」。藝大生の「表現」にかける熱量、自分は何者かという問いに発する混沌、そこから生まれる感動と笑い――卒業生の活躍や、藝祭、入学倍率などでうすうす感じていた藝大の凄さだが、二宮氏の二年に亘る取材により、その実像が明らかになったのである。今回はスピンオフとして、藝大を二十数年前に卒業した画家の永山裕子氏と東京国立博物館のデザイン室長であり照明デザイナーの木下史青氏に、二宮氏と語っていただいた。藝大いまむかし、アートとは何かなど幅広い話となった。



<主なコンテンツ>
1:木さじから血の海まで 藝大いまむかし
2:日本画専攻VSデザイン科の喧嘩御輿
3:なぜ藝大に?天才の存在 看板描きの夢
4:人間を学ぶ命の授業 用意された多くの入口
5:藝大から社会へ 就職を止める学生課
6:社会との繋がりは芸術に不可欠か
7:世界に手を差し伸べる 芸術の背景に人の営み

<対談者紹介>
★にのみや・あつと氏=作家。一橋大学経済学部卒業。ユニークな着眼と発想、周到な取材に支えられた作風で人気を博す。近著に『文藝モンスター』『最後の医者は桜を見上げて君を想う』他。『最後の秘境 東京藝大』が初のノンフィクション作品。1985年生。


★ながやま・ゆうこ氏=美術家。東京藝術大学油画科卒業、安宅賞・大橋賞受賞。同大学院修了。女子美術大学短期大学部非常勤講師。大塚アトリエ主催。著書に『永山裕子の透明水彩』『もういちど透明水彩を始めよう。』他。1963年生。


★きのした・しせい氏=展示デザイナー。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程環境造形デザイン専攻修了。東京国立博物館学芸企画部企画課デザイン室長、武蔵野美術大学/愛知県立芸術大学非常勤講師。著書に『博物館へ行こう』。1965年生。



《今週の読物》
■1面
◇連載=誰も見ていないから<24回>/井原信次(いはら・しんじ氏=画家)

■3面
▽文芸同人誌評/白川正芳(しらかわ・まさよし氏=文芸評論家)
◎俳句研究者の指針となるユニークなエッセイ/坪内稔典「俳句史研究の広がり」
◎特集「黒田喜夫の世界性を問いなおす」/季刊「びーぐる」33号

▽映画時評<12月>/伊藤洋司(いとう・ようじ氏=中央大学教授・フランス文学専攻)
◎視覚と、心理的、光学的投影をめぐる映画/ホセ・ルイス・ゲリン「ミューズ・アカデミー」

◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 <268回>/横尾忠則(よこお・ただのり氏=美術家)
◎芸術に生活を導入する風流なおでんの雪見

◇連載=現代短歌むしめがね <64回>/山田航(やまだ・わたる氏=歌人)
◎友だちでぱんぱんのバンで飲酒運転車輌専用道いけばくるぱんぱんのバン/伊舎堂仁『トントングラム』(2014)

◇連載=漢字点心 <208回>/円満字二郎(えんまんじ・じろう氏=編集者・ライター)
◎「宴」

◇文庫日和=穂村弘著『はじめての短歌』(河出文庫)


◇PictureBook&GuideBook=木原浩著『世界植物記 アジア・オセアニア編』(平凡社)


■4面
▽論潮<12月>/大野光明(おおの・みつあき氏=日本学術振興会特別研究員PD・歴社会学・社会運動論専攻)
◎グローバリゼーション再考―TPP・軍隊・監視社会―

■5面
▽文芸<12月>/友田健太郎(ともだ・けんたろう氏=文芸評論家)
◎独特なひねりのある魅力 科学者の世界観から作品を描いた竹林美佳

■7面
▽映画『古都』Yuki Saito監督インタビュー
 川端康成の名作『古都』は、これまで二度映画化されている(中村登監督・岩下志麻主演・1963年/市川崑監督・山口百恵主演・1980年)。この小説を原作として、川端の世界を受け継ぎながら、物語を現代に新しく蘇らせた作品が、12月3日より全国ロードショー公開される。生き別れになった双子の姉妹、千重子と苗子。彼女たちが最後に別れを告げてから二十数年後の京都とパリが、今回の映画の舞台となる。ふたりには、それぞれ娘が生まれ、大人の女性として成長していた。千重子の娘・舞は、就職活動の時期に差し掛かり、店を継ぐかどうか迷っていた。苗子の娘・結衣は画家になることを夢みて、パリに留学中である。四人の運命は、どのように交錯するのか。長編映画初監督となるYuki Saito監督にお話をうかがった。
★映画『古都』公式HPはこちら

◇集中連載12=吉見俊哉・室井尚『文系学部解体』VS『「文系学部廃止」の衝撃』

◇田原総一朗の取材ノート/田原総一朗(たはら・そういちろう氏=ドキュメンタリー作家)
◎グローバリズムの矛盾

■8面
▽特集=「文化大革命」発動から50年 今、文革を再考する/矢吹晋×土屋昌明 対談

 2016年は毛沢東による文化大革命発動から50年にあたる。いまだその全貌がつかめない文革。その意図とは、そこで一体何が起こっていたのか、また文革は日本にどのような影響をもたらしたのか。矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授)と土屋昌明氏(専修大学教授)に語ってもらった。日本は巨大な隣国とこれからの未来をどのように接していくのか、まずは中国現代史を知ることから始めなければならないのかもしれない。編集を朝浩之氏にご協力いただいた。

<対談者紹介>
★やぶき・すすむ氏は横浜市立大学名誉教授・中国経済論・現代中国論専攻。21世紀中国総研ディレクターも務める。著書に「中国から日本が見える」「中国の権力システム」「巨大国家中国のゆくえ」「尖閣問題の核心」「敗戦・沖縄・天皇」「対米従属の原点ペリーの白旗」ほか。1938年生。

★つちや・まさあき氏は専修大学教授・中国文学専攻。著書に「神仙幻想」、編著に「東アジア社会における儒教の変容」「目撃!文化大革命」「道教の聖地と地方神」など。1960年生。

《今週の書評》
■4面〈学術・思想〉
「生きつつある死」とは
▽酒井健著「夜の哲学」(青土社)
評者:市川 崇(いちかわ・たかし氏=慶應義塾大学教授・仏文学専攻)


平等な社会の実現に向けて
▽ローベル・ボワイエ著「作られた不平等」(藤原書店)
評者:室賀貴穂(むろが・きほ氏=東京大学大学院経済学研究科博士課程・独立行政法人日本学術振興会特別研究員(DC2)・経済学専攻)


■5面〈文学・芸術〉
黒人差別主義というアメリカ社会の病巣を鋭くえぐり出す
▽チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著「アメリカーナ」(河出書房新社)
評者:荒このみ(あら・このみ氏=東京外国語大学名誉教授・アメリカ文学専攻)


アメリカにおける人種問題の捉え方の視座を提供
▽安河内英光・田部井孝次編著「ホワイトネスとアメリカ文学」(開文社出版)
評者:大串尚代(おおぐし・ひさよ氏=慶應義塾大学教授・アメリカ文学専攻)


■6面〈読物・文化〉
運動の時代を分厚く記述
▽道場親信著「下丸子文化集団とその時代」(みすず書房)
評者:中筋直哉。(なかすじ・なおや氏=法政大学教授・社会学専攻)


権力に対峙する松明を受け継ぐ
▽金平茂紀著「抗うニュースキャスター」(かもがわ出版)
評者:永田浩三(ながた・こうぞう氏=武蔵大学教授・ジャーナリスト)


ソ連における獄中体験手記の先駆
▽イヴァーノフ=ラズームニク著「監獄と流刑」(成文社) 
評者:渋谷謙次郎(しぶや・けんじろう氏=神戸大学教授・ロシア法専攻)


地方ジャーナリズムの使命
▽早稲田大学ジャーナリズム研究所編「日本の現場」(早稲田大学出版部) 
評者:鈴木雄雅(すずき・ゆうが氏=上智大学教授・新聞学専攻)



◆次号<12月9日号>予告
井上達夫・渡辺靖=対談
<トランプ以後の世界>
(8頁・定価280円)

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