2015年10月2日号 3109号

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▼特集▼
◇星野智幸ロングインタビュー(聞き手=倉本さおり) <誰もが呪文からは逃れられない>
『呪文』(河出書房新社)刊行を機に



★『文藝』2015年夏季号に掲載された当初から多くの作家・批評家に絶賛された、今年度最大の傑作、星野智幸『呪文』が刊行された。寂れゆく商店街に現れた若きリーダー。彼の希望に満ちた言葉と行動力に、人々は熱狂し、商店街は賑わいを取り戻していく。しかし徐々に暴走をはじめる人々。希望は恐怖へと転換する。小さな商店街に生じた出来事は、日本の社会どこにでも起こり得ることである。刊行を機に星野智幸氏にお話しをうかがった。聞き手は、本紙文芸時評を担当するライターの倉本さおり氏にお願いした。

<主なコンテンツ>
1:密室と同調圧力
2:ベスト・オブ・現代小説
3:社会全体が入るように
4:「希望依存症」に抗して
5:どこでも起こり得ること
6:小説的な言葉で考える

※ほしの・ともゆき氏=作家。早稲田大学卒。1997年「最後の吐息」で文藝賞を受賞しデビュー。2000年「目覚めよと人魚は歌う」で三島由紀夫賞、03年「ファンタジスタ」で野間文芸新人賞、15年「夜は終わらない」で読売文学賞を受賞。1965年生。
    

※くらもと・さおり氏=ライター。文芸誌や週刊誌、新聞にて書評、インタビュー、コラムなどを担当。「週刊金曜日」書評委員。1979年生。

▼今週の読物▼
■1面
◆連載=写真家の記憶の抽斗<第68回>/北井一夫(きたい・かずお氏=写真家)
<出勤時間>1984年 シリーズ「フナバシストーリー」
★畑や田んぼにブルドーザーが入って造成地になって、やがてそこに綺麗な住宅が建並び、新しい家族が入ってくる。電車の窓から見る東京近郊の風景はどこもこれと同じことをくり返す風景のように見える。…続きは本紙へ

■3面
◆連載=日常の向こう側 ぼくの内側<210回>/横尾忠則(よこお・ただのり氏=美術家)
◎耳のせいで疲労と倦怠感、睡眠抜きが最高の睡眠薬

◆連載=現代短歌むしめがね<第8回>コンピュータ編/山田 航(やまだ・わたる氏=歌人)
◎リクナビをマンガ喫茶で観ていたらさらさらと降り出す夜の雨 /永井祐『日本の中でたのしく暮らす』(2012)

◆連載=漢字点心<第152回>/円満字 二郎(えんまんじ・じろう氏=編集者・ライター)
◎蹯 ※音読みで「ハン」

◆連載=文芸同人誌評/白川正芳(しらかわ・まさよし=文芸評論家)
◎初会句会参加の感動生き生きと(山田梨花「俳句ことはじめ」)
◎今後が楽しみな連載・本格評論(河村幹夫「コナンドイルの書棚から」)

◆レポート=第61回江戸川乱歩賞贈呈式
★第61回江戸川乱歩賞の贈呈式が、9月10日、東京都千代田区の帝国ホテルで行われた。受賞は「道徳の時間」の呉勝浩氏に決定した。


◆レポート=ちひろ美術館「憲法・平和・安保法案を考える」トークイベント開催
★9月4日、東京練馬区のちひろ美術館で、トークイベント「憲法・平和・安保法案を考える」が行われた。
主催は、子どもの本の作家、編集者、翻訳者、研究者による組織「フォーラム・子どもたちの未来のために」で、司会は評論家の野上暁氏が務めた。スピーカーとしてまず話をしたのは、絵本作家の浜田桂子氏。「子どもたちと本を読んでいると、国や民族の違いをふわっと飛び越えてしまう。北朝鮮では絵本を出しただけで、子どもたちがワッと歓声をあげます。子どもたちの姿を見て、先生や父母や、政府関係の方もうれしそうにしている。武力ではなく、共感や信頼を深めていくことこそが紛争の抑止力になるのではないか。信頼や共感を生む力を、日本は持っている。世界中の子どもたちに絵本の楽しさを届けていく。そして紛争をその中で沈める方向に持っていけたら」…続きは本紙へ

■4面
◆連載=論調<10月>/羽根次郎(はね・じろう氏=明治大学専任講師・現代中国論専
攻)
◎「法案は必要」だが「説明不十分」 「二層」の層がどちらに動くか、それで勝者が決まる

◆スポットライト=
◎著:黒田 寛一『読書ノート』(こぶし書房)
 

■5面
◆連載=文芸<10月>/倉本さおり。(くらもと・さおり氏=ライター)
◎<私>という前提の成り立つ場所 またぐ、殺す、書く、読む

■7面
◆レポート=<安全保障関連法案反対デモ>レポート―55年ぶりに参加して
9月16日夜、国会議事堂前での安全保障関連法案の反対デモに出かけた。早く来なければと思いつつ、参議院特別委員会での強行採決寸前のデモ参加になった。
 私が国会議事堂前のデモに参加したのは、1960年の安保反対闘争の時が初めてで、今から50年以上も前のことである。当時、上智大学三年生だったが、上智大学は学外での政治的活動に学生が参加することは禁じられ、自治会もなかったので、友人とグループを作り、参加したそれでも毎日のようにデモに出かけ、6月15日に樺美智子さんが学生と警官との衝突で亡くなった時、私も南通用門から国会構内に入った。そんなある日、デモをしていて肉筆でガリ版刷りのビラをもらったが、それはこう書き出されていた。<上智大の学友諸君に訴える!!/今こそ岸政権の暴政に対して決起しよう。/去る二十日、岸自民党政府はついに国会へ警察を導入するという暴挙をもって新安保を単独可決した。/心からの怒りと悲しみを感じる。>
 このビラは、「青学共斗会議」という組織が上智大生だけに配ったもので、ビラの文面には、<とくに我々を勇気づけてくれたのは上智大生諸君>が<抗議集会に参加してくれた>ことで、<女子学生を含めて
一〇〇名が参加してくれたことは、我々にとってなんという大きな喜びであったろう!>と書かれていた。 偶然、手許に保存していたこのビラを紹介したのは、今回参加したデモと60年安保のときのデモの違
いを感じたからである。60年安保のときは、デモの主催者である組織が存在しており、その呼びかけで参加するという形が多かった。学生の場合は全学連(全国学生自治会総連合)に加盟している自治会の動員でデモに参加し、労働者の場合は、労働組合の動員による参加が大半だった。 わずかに「声なき声の会」のような特定の組織に所属しない人々によるデモもあったが、大部分のデモ参加者は個人としてでなく、組織による動員で参加した人が多かった。ところが今回のデモは、少人数によるグループでの参加は見られたが、大半は個人による参加が目立った。そのため、『別冊宝島』の「集団的自衛権が発動される時」に掲載された「国会議事堂集会レポート」には、こんな見出しが使われていた。 
<以前の安保闘争では主語は「我々」だったが現在は「私」となり、個人の意思を主張> 「我々」から「私」への主語の変化。これが以前のデモと現在のデモとの違いであるが、もう一つ変化したことがある。それは、以前のデモでは男性の参加者が目立ち、女性はわずかに女子大の自治会に所属する学生が参加している位であった。
 しかし、今回のデモは中年以上の女性が多かった。だから、拡声器を通して流されるシュプレッヒコールの声は男性よりも女性の方が多かった。これも、以前のデモと違うことである。ちなみに拡声器の性能も非
常によくなっており、どこにいても声が届いた。中には、自分独自のシュプレッヒコールを発している人もいた。 会場では、表を赤地に白抜きの文字で「戦争させない」と印刷し、裏に青地白抜き文字で「9条壊すな!と印刷されたビラが配られ、それを手にかざしながら歩いている人も見かけた。しかし、自前のポスターも多く、個人の自発的参加によるデモという印象が強かった。16日夜は何万人の参加者があったのか知らないが、自動車道は警察の装甲車がびっしりと並び、参加者は歩道しか歩けない。国会正門前まで歩いて脇にそれて帰ろうとしても警官が通してくれず、いくら急いでいるからと言っても、警官は聞いてくれなかった。 今回の反対闘争では「SEALDs」のような学生グループが生まれ、中心メンバーの奥田愛基君が参議院の中央公聴会に出席して意見を述べたが、このようことも以前はなかったことである。しかし、安倍政権は反対運動を完全に無視して、法案成立のために、反対者の声に耳をかたむけることは最後までしなかった。 考えてみると、私は安倍首相の祖父である岸信介首相に対してのデモに参加し、その孫に対するデモにも参加したことになる。(本紙・植田康夫)

◆受賞=講談社3賞 贈呈式開催 千代田区・如水会館に於いて

■8面
◆連載=元気に、出版。出版、元気に/創刊30周年を迎える新・都会派総合誌「東京人」(下)

◆出版メモ=
ハマザキカク氏、出版新レーベル第一弾『世界過激音楽Vol.1 デスメタルアフリカ』(合同会社パブリブ)


◆連載=田原総一朗の取材ノート/田原総一朗(たはら・そういちろう氏=ドキュメンタリー作家)
◎政治家がやるべき努力を怠る

▼今週の書評▼
■4面<学術 思想>
◆著:山本 建郎『アリストテレス方法論の構想』(知泉書館)
評:森一郎(もり・いちろう氏=東北大学教授・哲学専攻)
アリストテレス方法論の構想

◆著:サムエル・ヴィレンベルク『トレブリンカ叛乱――死の収容所で起こったこと1942-43』(みすず書房)
評:芝健介(しば・けんすけ氏=東京女子大学教授・ドイツ近現代史専攻)


■5面<文学 芸術>
◆著:村上春樹『職業としての小説家』(スイッチ・パブリッシング)
評:都甲幸治(とこう・こうじ氏=早稲田大学教授・現代アメリカ文学・文化専攻)


◆著:ジョン テイラー『西洋古典文学と聖書: 歓待と承認』(教文館)
評:安村典子(やすむら・のりこ氏=元金沢大学教授・西洋古典学専攻)


■6面<読物 文化>
◆著:猪瀬 直樹、田原 総一朗『戦争・天皇・国家 近代化150年を問いなおす』(KADOKAWA)
評:竹内修司(たけうち・しゅうじ氏=編集者)


◆著:小林英夫『甘粕正彦と李香蘭 満映という舞台』(勉誠出版)
◆著:岸 富美子『満映とわたし』(文藝春秋)
評:千葉伸夫(ちば・のぶお氏=作家)



◆著:田崎 健太『真説・長州力 1951‐2015』(集英社インターナショナル発行、集英社発売)
評:杉江松恋(すぎえ・まつこい氏=書評家)


◆著:上尾龍介『一塊のパン ある学徒兵の回想 上・下』(中国書店)
評:臺宏士(だい・ひろし氏=元毎日新聞記者)
 

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