2015年10月16日号 3111号

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▼特集▼
◇山下裕二×椹木野衣 <戦後美術史を再構築>
『日本美術全集第19巻 拡張する戦後美術』刊行を機に



★小学館創業90周年企画として2012年から刊行開始されている『日本美術全集』(全20巻、編集委員:辻惟雄・泉武夫・山下裕二・板倉聖哲)。戦後70年を迎えた今年8月に配本された最新刊の第19巻「拡張する戦後美術」が扱う時代区分は日本の敗戦から戦後50年目にあたる1995年まで。本書の責任編集は美術批評家の椹木野衣氏。戦後日本美術は激動のこの時代にどのような足跡を辿ったのか。2016年2月に最終配本予定で1996年から現在までを扱う第20巻「日本美術の現在・未来」の責任編集を務める山下氏と椹木氏に対談をお願いした。

<主なコンテンツ>
1:美術史家として 美術批評家として
2:戦後70年の年に18、19巻が出る必然
3:対話を重ねて無意識の中から炙り出す
4:岡本一平から続く近代マンガの歴史
5:重要な意味を持つ80年代の美術
6:時代の切れ目の中で作られた美術全集

★やました・ゆうじ氏=美術史家・明治学院大学教授。室町水墨画の研究からスタートし、日本美術全般に関する研究、執筆、展覧会プロデュースなどに携わる。著書に「室町絵画の残像」「岡本太郎宣言」ほか、共著に「日本美術応援団」「日本美術史」ほか。1958年生。
    

★さわらぎ・のい氏は美術批評家・多摩美術大学教授。著書「シミュレーショニズム」の刊行を皮切りに展覧会のキュレーションも行う。著書に「日本・現代・美術」「戦争と万博」「反アート入門」「アウトサイダー・アート入門」ほか、共著に「戦争画とニッポン」ほか。1962年生。
     

▼今週の読物▼
■1面
◆連載=写真家の記憶の抽斗<第69回>/北井一夫(きたい・かずお氏=写真家)
<ベランダ>1987年 シリーズ「フナバシストーリー」
★ うさぎ追いしかの山/こぶな釣りしかの川
この故郷イメージを持つ人たちの故郷は、しだいに失われている。子供の時にいつも見て大きく感じていた建物が大人になってから記憶をたどって行って見直してみると、普通の建物だったり、広いと思って歩いていた道が狭かったりする…続きは本紙へ

■3面
◆連載=日常の向こう側 ぼくの内側<212回>/横尾忠則(よこお・ただのり氏=美術家)
◎抜歯、小さいカルマが抜けた。神様ファッション大流行

◆連載=読写!一枚の写真から<第33回>/岩尾光代(いわお・みつよ氏=ジャーナリスト)
◎福岡県方城炭鉱爆発
★左上は炭坑構内入口の大門にして爆発と聞き坑夫等の家族が安否を気遣いつつ蝟集せり。右下の写真のテント張りは救護者の控所、南側多数の人は坑夫の遺族にしてその親や兄弟の死体の上るを待ちつつあるところなり。(『写真通信』大正四年一月号)

◆連載=現代短歌むしめがね<第10回>コンピュータ編/山田 航(やまだ・わたる氏=歌人)
◎行方不明の少女を捜すこゑに似て Virus,MSWord,Melissa /光森裕樹『鈴を産むひばり』(2010)

◆連載=漢字点心<第154回>/円満字 二郎(えんまんじ・じろう氏=編集者・ライター)
◎稔

◆連載=ニューエイジ登場
小説という不思議/呉勝浩
◎著:呉勝浩『道徳の時間』(講談社)


◆文庫日和=
◎著:トーマス トウェイツ『ゼロからトースターを作ってみた結果』(新潮社)


◎著:合田 道人『神社の旅』(祥伝社)


■7面
◆受賞=
◎第14回 小林秀雄賞 新潮ドキュメント賞 贈呈式開催
★10月2日、東京・虎ノ門の帝国ホテルにて、第14回小林秀雄賞と新潮ドキュメント賞の贈呈式が行われた。受賞作は小林秀雄賞が小熊英二氏の『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)、新潮ドキュメント賞が永栄潔氏の『ブンヤ暮らし三十六年 回想の朝日新聞』(草思社)。
 

◆連載=田原総一朗の取材ノート/田原総一朗(たはら・そういちろう氏=ドキュメンタリー作家)
◎負の遺産としての「南京大虐殺」

◆連載=ブックサロン
著:九鬼崇『襞(ひだ)』(文芸社)

★システム・エンジニアの広澤涼子は自ら開発した人事管理ソフトの売り込み先で、経営企画室長の葉山宏と出会う。仕事が進むにつれ、涼子は宏の仕事の手際よさと、ビジネスマン離れした教養に魅かれていく。だがどこか冷めた宏には、二十五年前に深い関係を結んだ雪絵という女の影があった。雪絵には身体を売って生きていた過去があり、それに負い目のあった彼女は宏から身をひいた。雪絵の去るに任せたことが、家庭を持った後も宏には深い傷を残していた。雪絵の幻と格闘しながら、妻子ある男との愛欲に溺れる涼子。やがて宏と涼子には劇的な運命が待ちうける。
 ビジネスシーンの描写リアリティに富み、作者がその世界の人であることを窺わせる。リーマン・ショックの際、「狼狽売りが派遣から始まった」という台詞。社会的事件ともなった派遣斬りの背景に隠された事情を知る立場にあることが、作者が匿名でこの小説を書いた理由なのだろうか。事実もよく調べ、時系列を自在に操るストーリー展開は鮮やか。人物描写も冴え、作品構成も重厚。長編の魅力を発揮した問題作である。

■8面
◆レポート=山田太一氏トークイベント載録(司会・清田麻衣子)
<いま考えていること、これからのこと>『夕暮れの時間に』(河出書房新社)刊行を機に


★脚本家として、「岸辺のアルバム」「早春スケッチブック」「ふぞろいの林檎たち」など名作テレビドラマをてがける山田太一さんが、エッセイ集『夕暮れの時間に』の刊行をきっかけに、9月15日、ジュンク堂書店池袋本店でトークイベントを行った。お相手は、本書と『文藝別冊 山田太一』の編集を行った里山社の清田麻衣子さん。小津安二郎氏の話、老いと、人間の宿命性、戦争体験や若気の至りの失敗談まで、会場全体が山田さんの一言一言を身を乗り出して聞くよい時間となった。その一部を載録させていただいた。(編集部)

<主なコンテンツ>
1:小津安二郎監督の事故模倣の傑作
2:自分の輪郭で生きて消えていけばいい
3:人間の宿命性と、くりかえすことの豊かさ
4:考え方の軸を作った戦争体験

※やまだ・たいち氏=脚本家、作家。早稲田大学卒業後、松竹大船撮影所入社。演出部で木下惠介監督の助監督に。65年脚本家として独立。「岸辺のアルバム」「早春スケッチブック」「ふぞろいの林檎たち」「時は立ちどまらない」など数多くの名作テレビドラマの脚本を手がける。88年長編小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞、2014年エッセイ集『月日の残像』で小林秀雄賞を受賞。1934年生。
  

▼今週の書評▼
■4面<学術 思想>
◆著:マーク・マゾワー『国連と帝国:世界秩序をめぐる攻防の20世紀』(慶應大学出版会)
評:中道寿一(なかみち・ひさかず氏、北九州市立大学名誉教授・政治思想史専攻)


◆著:リチャード・A. ガードナー『宗教と宗教学のあいだ―新しい共同体への展望』(上智大学出版会発行、ぎょうせい制作・発売)
評:櫻井義秀(さくらい・よしひで氏=北海道大学教授・宗教・文化社会学、タイ地域研究、東アジア宗教研究)


◆著:丸川 哲史『中国ナショナリズム―もう一つの近代をよむ』(法律文化社)
評:鈴木将久(すずき・まさひさ氏=一橋大学教授・中国文学専攻)


■5面<文学 芸術>
◆著:フランツ=オリヴィエ ジズベール『105歳の料理人ローズの愛と笑いと復讐』(河出書房新社)
評:陣野俊史(じんの・としふみ氏=文芸評論家、フランス文学者)


◆著:歌川 たいじ『やせる石鹸』(KADOKAWA)
評:彩瀬まる(あやせ・まる氏=作家)


◆著:関口安義『続 賢治童話を読む』(港の人)
評:平澤信一(ひらさわ・しんいち氏=明星大学教授・日本文学専攻)


◆著:W.B. イェイツ『幼年と少年時代の幻想』(英宝社)
評:栩木伸明(とちぎ・のぶあき氏=早稲田大学教授・アイルランド文学専攻)


■6面<読物 文化>
◆著:田丸 理砂『「女の子」という運動: ワイマール共和国末期のモダンガール』(春風社)
評:小玉美意子(こだま・みいこ氏=武蔵大学名誉教授・テレビジャーナリズム論専攻)


◆著:高橋 明彦『楳図かずお論: マンガ表現と想像力の恐怖』(青弓社)
評:栗原裕一郎(くりはら・ゆういちろう氏=評論家)


◆著:目黒区美術館『村野藤吾の建築 模型が語る豊饒な世界』(青幻舎)
評:内田青蔵(うちだ・せいぞう氏=近代建築史家・神奈川大学教授)


◆著:深作秀春『眼脳芸術論 眼科学と脳科学から解き明かす絵画の世界』(生活の友社)
評:峰順一(みね・じゅんいち氏=美術批評)

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