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今週の三冊

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新刊旧刊ジャンル問わず、読書人のスタッフが「いま読んだもの」を毎週三冊、150字程度で紹介していきます。 このページでは過去1年分の記事を表示していますが、 各年度でまとめて表示する場合は、以下のリンクからご覧ください。

2012年 2月 3,4週目

評者:木許 裕介(立花隆事務所助手)

ルイス・ロックウッド『ベートーヴェン -音楽と生涯-』」

春秋社。これは本当に素晴らしい一冊だ。900ページを超す大著だが、その中にベートーヴェンの生涯が描かれ、同時に鋭い視点から楽曲が分析されている。音楽と生涯というサブタイトルの通り、作品分析の本でもあり、伝記でもある。とりわけピアノ協奏曲第四番の二楽章の捉え方には感銘を受けた。音楽に携わるものにとっては一生本棚に置いておきたくなる一冊だろう。

野村三郎『「音楽的」なピアノ演奏のヒント』

音楽之友社。副題に「豊かなファンタジーのイメージ作り」とあるように、著者は「もっと自由にファンタジーの翼を広げて音楽を楽しんでみよう」と我々に呼びかける。ではどうやって?翼を広げるために、作曲家の背景や歴史、「愛の六度」や「嘆きの音型」などの沢山のヒントが本書には収められている。

土田健次郎『儒教入門』

東京大学出版会。「仁」「義」といった儒教道徳や「聖人」などの儒教的人格、さらには儒教に基づく社会観である徳治主義などがコンパクトに解説されている。高校時代に様々な科目で触れるものの、いまいち正体のつかめない「儒教」だが、この一冊でようやく頭が整理された。

2012年 2月 1,2週目

評者:木許 裕介(立花隆事務所助手)

原田マハ『楽園のカンヴァス』」

新潮社。『カフーを待ちわびて』の著者が二十五年の構想を経て贈る、史実に基づいたアートミステリー。著者はキュレーターとして活躍していたこともあり、絵画をめぐるふとした描写や会話に鋭いリアリティが宿っている。

本郷恵子『蕩尽する中世』

新潮社。四百年の中世に流れる経済システムを、「蕩尽」という言葉をキーに読み解いて行く。最後に纏められた中世の見取り図が非常に読みやすい。受験生にもおすすめの一冊。

寄川条路・編『若者の未来をひらく 教養と教育』

角川学芸出版社。様々な分野の研究者が、「教養」とは何か、「教養」とはどうあるべきかをそれぞれの立場や領域から論じている。姉妹本の『新しい時代をひらく 教養と社会』と合わせて読みたい。 

2012年 1月 3週目

評者:木許 裕介(立花隆事務所助手)

西村公朝『「形」でわかる仏像入門』」

佼成出版。紫綬褒章を受賞した名仏師による仏像入門。仏像に関する資料的な書物ではなく、仏像が伝えようとする「メッセージ」が非常に分かりやすく説明されている。「目と手と心で仏像に触れる」とあるように、仏像を手で感じるという考え方には頷かされた。仏師は手で像を作り上げて行くのだから、そこに触覚的要素が重要な意味を持つ事は間違いないだろう。仏像についての見方が変わる一冊。

本郷恵子『将軍権力の発見』

講談社選書メチエ。鎌倉幕府から室町幕府へ時代が移る中、室町幕府はどのような統治構造を作り上げたのか。南北朝と朝廷とはどのような関係にあったのか。太上官符や官宣旨といった文書を切り口に、中世の姿を解きほぐしてゆく。

鹿島茂『絶景、パリ万国博覧会』

河出書房新社。副題「サン=シモンの鉄の夢」とあるように、パリ万博とは「人間による人間の搾取から、機械による自然の活用へ」というサン=シモンの共産主義的思想を受継いだ人々(たとえばミシェル=シュヴァリエ)による、ユートピアの実現形態だと結論づける。図版が200点も収録されているのには感動!

2012年 1月 1,2週目

評者:木許 裕介(立花隆事務所助手)

アンドレ・ルロワ=グーラン『身ぶりと言葉』」

ちくま学芸文庫。長らく絶版になっていたこの名著がついに復刊された。松岡正剛氏に「この一冊がぼくを変えた」と言わしめた本書には、「人類」の進化の過程が生物学と人類学の両方の視点からスリリングに描かれていて、700ページ弱という大著にも関わらず読み飽きる事が無い。第一部(技術と言語)、第二部(記憶と技術)、第三部(記憶とリズム)と次々に論を展開しながら、人類の歴史が紡がれてゆく。

佐藤輝彦『本物を見極める-3億円のヴァイオリンはいかに鑑定されるのか?』

ヤマハミュージックメディア。日本弦楽器社の代表であり、ヴァイオリンバイヤーでもある佐藤氏が描く銘記鑑定の世界。なぜストラディヴァリウスはあれほどの値段がするのか。そもそも銘器とは何なのか。どうやって見抜き、入手し、人の手に渡って行くのか。佐藤氏の語りは温かく、楽器と人との出会いに命を注いでいらっしゃる様子がひしひしと伝わってくる。豊かな図版も必見。

宮本英世『クラシックよ永遠に -名曲喫茶「ショパン」店主の追憶-』

朝日クリエライブラリー。名曲喫茶「ショパン」の店主が語るクラシック音楽との出会い、人生、そして「ショパン」を開くまで。氏の人生にとってクラシック音楽がどれほど大きな位置を占めていたのか。「ショパン」は東京、要町にあるという。近いうちに訪れてみたい。

2011年 11月 4週目

評者:木許 裕介

坂口安吾「不連続殺人事件」

角川文庫。『堕落論』で知られる坂口安吾が残した傑作ミステリー。特別な仕掛けなく八人の男女が死んでゆく。書かれたのは1974年と随分前だが、いまだ本書以上のインパクトを与えてくれるミステリーには出会ったことがない。必読。

五つの小さな物語 -フランス短編集-

彩流社。100年以上前に書かれたフランスのショート・ストーリーが五本収録されている。どれも読み終わると優しい気持ちになるものばかり。飾らずその魅力を伝えてくれる装丁も美しい。

エイモン・ジャヴァーズ「諜報ビジネス最前線」

緑風出版。「スパイ」というのは過去の遺物ではない。グローバル化する企業間競争の中で、CIAやKGBの元諜報部員を巻き込んで「諜報ビジネス」として組織され、最新のテクノロジーを活用しながら活発に行われている。「調査報道賞」を受賞した調査報道ジャーナリストによる暴露の書。

2011年 11月 3週目

評者:木許 裕介

ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ一番」

今週は楽譜シリーズ。リハーサルが近いと読むものが楽譜に集中してしまう。まずはブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスの遺した名曲「ブラジル風バッハ一番」だ。チェロ八本のために書かれたこの曲は、原題を正確に訳せば「ブラジル流のバッハ風音楽」となるだろう。理屈抜きに心に訴えかけてくる野性味と情感に溢れていて、一度耳にすると忘れる事が出来ない。そして何度読んでも・聞いても、その度ごとに新しい発見がある。

ストラヴィンスキー「プルチネルラ」組曲(1949年版)

「プルチネルラ」とはイタリアの伝統的な風刺劇に登場する道化師のこと。その道化師が主役となるシナリオに「春の祭典」で知られるロシアの作曲家ストラヴィンスキーが曲をつけたのが本曲。新古典派的な様式で書かれており、小編成の中にストラヴィンスキーならではの楽器の巧みな扱いが光っている。本年度のブザンソン指揮コンクールの課題曲になっていたことは記憶に新しい。

モーツァルト「交響曲第三十六番<リンツ>」

最後はモーツァルトの交響曲。堂々とした序奏から走り出すような一楽章、叙情に満ちて穏やかな二楽章、オーボエとファゴットの掛け合いが美しい三楽章のメヌエット、爽快で瑞々しい四楽章。どれをとっても音楽の楽しみに溢れている。これをわずか四日間で書いたというのだから、モーツァルトはやっぱり天才だ。

2011年 11月 2週目

評者:木許 裕介

弓場紀知・編『女たちのシルクロード』

平凡社。「シルクロード」ではその名の通り「シルク=絹」を中心として様々な文物が運ばれたが、輸送に際しては当然「人」の行き来があった。人、とりわけ「女性」はこの道をどのように行き来し、何を運び、身につけ、東西の女性像に影響をもたらしたか。豊富な図版とともに絹の道の女性史が描かれる。布を思わせるような帯の手触りが面白い。

酒井伸雄『文明を変えた植物たち』

NHK出版。ジャガイモ、ゴム、チョコレート、トウガラシ、タバコ、トウモロコシ…これら六つの「植物」を切り口に、西洋の文化の発展・変化の軌跡を辿る。前述の『女たちのシルクロード』もそうだが、世界史を学んでいる最中の高校生にこそ読んでほしい一冊だ。

アラン・コルバン『空と海』

藤原書店。「感性の歴史家」として知られるフランスの歴史学者アラン・コルバンが、「天候=空」や「海辺=水」などについて考察した書。「過去の人間を理解するには、彼らの身体文化を知る必要があり…感性、快楽行動、苦痛の受け入れ方、したがって寒暖・乾湿、およびあらゆる大気現象の評価のしかたなどの変化を把握する事を意味する」とあるように、当時の絵画や文学作品から、人々が空や海をどのような視点で見ていたか、またそれがどう変化していくかを鮮やかに描き出している。

2011年 11月 1週目

評者:木許 裕介

100 oeuvres-clés de philosophie

Nathan.タイトルを訳すなら、「哲学100の重要作品」という感じになるだろうか。取り上げられている作品はフランスに限らない。見開き一ページにその哲学者と著作、キーコンセプトが纏められており、フランス語の勉強に最適。湯船に漬かりながら見開きを読むことを日課にしているうちに、ようやく読み終えた。

モリス・クライン『数学の文化史』

河出書房新社。中山茂・訳。はしがきの冒頭、「本書の目的は、数学が西洋文明を培う上に不可欠な役割を果たすという論旨を展開することにある」という通り、数学が何を生み、何を発展させたかが時代を追って描かれている。それは天空の測定であり、絵画の透視法であり、統計や確率であった。鮮やかなブルーで彩られた装丁が印象的。

東京サザエさん学会『磯野家の謎』

集英社文庫。もう20年近く前に流行った本だが、久しぶりに読み返すと面白い。あの「サザエさん」にまつわる謎(とその考察)が沢山収録されている。続編も必読。

2011年 10月 4週目

評者:木許 裕介

黒井千次『時代の果実』

河出書房新社。「老いて初めて輝きをみせるあの日、あの時——。」という言葉通り、筆者の生きた戦後の風景や大作家たちとの交流が、淡々と、しかし温かく描かれている。手触りの良い装丁とともに、時を置いて何度も棚から取り出し読み直したくなる一冊。

ギョーム・アポリネール『アポリネール詩集』

新潮文庫。堀口大學訳。先週に『虐殺された詩人』を読んだ事もあって、三年ぶりにアポリネールの詩集を読み直した。有名な「雨が降る」の面白さはもちろんだが、かつてはあまり好きになれなかった「ミラボー橋」が心に響くようになっていて、時間の流れを感じた。

アダム・ハート=ディヴィス監修『世界の歴史 大図鑑』

河出書房新社。読み終わっていないのに取り上げるのは反則な気もするが、それにしてもこれは凄い!豊富な図版、しかも全ページ数の七割以上がカラーで美しく仕上げられている。文字ばかりの勉強に辟易している高校生にはもちろん、大学生、一般の方にとっても手元に置く価値のある一冊である事は間違いないだろう。

2011年 10月 3週目

評者:木許 裕介

ヨハネス・ブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」

楽譜も本、ということで取り上げてみる。先日この曲を指揮する機会があったので、今週いちばん読んだものはきっとこの楽譜に違いない。ハイドンの作と言われている印象的なテーマ「聖アンソニーのコラール」が、ブラームスの木細工のように精緻なオーケストレーションで次々と変奏されてゆく。最終変奏でテーマが絡み合いながら回帰し、壮大な結末を迎えてゆくのを聞くとき、言葉にならぬ神々しさを感じずにはいられない。

小松英輔『もう一人のソシュール』

エディット・パルク。ソシュール研究者として名高い小松氏の論考、訳集。巻末につけられた『ホイットニー』『トリスタン』の原テキストだけでも信じられない価値。ソシュールの講義ノート、学生コンスタンタンのノート、CLGの初版、コラシオンを比較して共通する部分を抜き出した項には驚く。

ギョーム・アポリネール『虐殺された詩人』

海苑社。「雨が降る Il pleut」で有名な詩人アポリネールの短編小説集。恋を描いたものでありつつ、怪奇で幻想的。「脅異こそ小説家の第一の関心でなければならない。…(中略)…想像力が、文学において本来占めるべき地位を取り戻すように思われる。」というアポリネールの言葉そのもののような作品。

2011年 10月 1,2週目

評者:木許 裕介

原田宗典『平凡なんてありえない』

PHP文庫。小説、エッセイ、戯曲と多分野で活躍する作家・原田宗典が「青春」を綴ったエッセイ集。肩の力を抜きながら、一息に最後まで読んでしまう面白さを持っている。中身はもちろん、原田宗典の本はいつもタイトルが魅力的だ。

立原正秋『愛と人生の風景』

新潮文庫。作家・立原正秋が遺した著作から「愛」と「人生」をテーマに短い文章を集めたもの。ポール・ヴァレリーの「カイエ」を思い出す佇まい。「伝統はどこか高い場所にあるのではなく、一職人のなかでうけつがれるものである」など、ハッと目が覚めるような言葉に満ちている。現在、やや入手困難なようだ。

アーウィン・ショー『ニューヨークは闇につつまれて』

講談社文庫。『夏服を着た女たち』で知られる著者が贈る全11編の短編集。どれも読後には爽やかで小気味良い余韻を与えてくれる。アーウィン・ショーは話の切り上げ方がいつも見事だな、と思う。しかしこちらも絶版の様子で、惜しい。

2011年 9月 5週目

評者:木許 裕介

立花隆『シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界』

文藝春秋。香月泰男は「シベリア・シリーズ」という57点の連作と独特の「黒」「顔」で知られる日本の画家。この画家と長く親交のあった評論家・立花隆が贈る香月研究の決定版。豊富な図版に加えて「私のシベリヤ」という香月の(実際には当時29歳の立花隆がゴーストライトしたもの)語り聞きも掲載されている。香月泰男生誕100周年の今、改めて読まれるべき快著だろう。

阿部軍治『慟哭のシベリア抑留 抑留者たちの無念を想う』

彩流社。香月泰男がその絵で描いた「シベリア抑留」という歴史が、具体的な数字とともに解説されている。シベリア抑留が人間の「人間らしさ」を枯れさせるほどの過酷な状況であったことが、この一冊から良く分かるだろう。

戸塚真弓『パリからの手紙』

中央公論社。パリで暮らす日常を人や食の温かさとともに豊かに綴った一冊。「フランス人は少しずつ違うものを見事に融合させる才能と伝統を受け継いでいる」というゼルティンの言葉が紹介されているが、日本もそうなのかもしれないし、そうであればいいな、と優しい物思いに耽らせてくれた。

2011年 9月 4週目

評者:木許 裕介

潮編集部『師を持てば人生の問題の大半は解決したようなものだ』

潮出版社。学問、芸術、スポーツ…それぞれの一線を走る人々が自身の「師」の思い出や教えについて語った本。「師」は決してその芸だけを教える存在ではなく、人生そのものを導き、動かす人間となりえる存在だ。「師」と呼べる人に巡り会う事、そして側で学ぶ事がどれほど大きな意味を持つことか、この本は雄弁に教えてくれる。

嶋中労『コーヒーに憑かれた男たち』

中公文庫。一杯のコーヒーにその人生の全てを賭けて拘り抜く人々。ランブル、バッハ、もかといった、東京の伝説の珈琲店の店主たちの生き様を、鮮やかに描いた一冊。店主たちの情熱とともにコーヒーのあの香ばしい匂いが立ち上ってくる。

熊野純彦『日本哲学小史 近代100年の20篇』

中公新書。近代の日本哲学の流れや議論を概観する一冊。西洋の哲学が日本にいかに導入され、どのように発展・変形していったか。あるいはどのように独自の展開を遂げたか。巻末に付された日本近代哲学史年表が非常に便利。

2011年 9月 3週目

評者:木許 裕介

井上眞弓、乾澄子、鈴木泰恵『狭衣物語 空間/移動』

翰林書房。「風の物語」としての狭衣物語における空間性と移動(縦と横の移動)に着目した論考集。身体感覚に古典が語りかけてくる。プラハ本「狭衣物語絵」の美しさに感動!

浅川達人『ひとりで学べる社会統計学』

ミネルヴァ書房。題名の通り、社会統計学の入門書。順を追って丁寧に社会統計学のいろはが書かれており、非常に分かりやすい。手元に置いておきたい一冊。

冨田成子『ジョージ・エリオットと出版文化』

南雲堂。19世紀イギリスの女性作家、ジョージ・エリオットの人生を描きながら、「出版社」がどのような役割を果たして行くかを描く。出版メディアが活況を呈したこの時期、芸術として完成度が高く、しかし同時に読者に受ける作品を創造する必要がある、という問題を、エリオットはどう解決していったか。Achieve some possible betterという言葉が彼女のモットーだった。

2011年 9月 2週目

評者:木許 裕介

喜多あおい『プロフェッショナルの情報術』

祥伝社。数々のテレビ番組の「リサーチャー」として活躍する著者が送る、調べ方と伝え方の極意。リサーチャーとは、番組制作の裏方として番組に必要な情報を収集し提供する仕事。情報の入手法や保管法のみならず、リサーチャーという仕事について興味が湧く。

井上亮『非常時とジャーナリズム』

日経プレミアシリーズ。石橋湛山、桐生悠々、清沢冽、菊竹六皷、徳富蘇峰。昭和前期に生きた言論人たちの、時代との向き合い方をたどる事で、東日本大震災を受けて混迷にあるいま、ジャーナリズムは何を成すべきかを問い直す。

有馬哲生『ディズニーランドの秘密』

新潮新書。『ディズニーの魔法』の著者によるディズニーランド論。ディズニーランドの核を「ストーリー性」と「想像力」に求め、アトラクションをいくつか取り上げて解きほぐしてゆく。「東京ディズニーランドのゲストの男女比率は70%ほどが女性で、30%ほどが男性」というデータには驚いた。

2011年 9月 1週目

評者:木許 裕介

斎藤秀雄『斎藤秀雄講義録』

白水社。指揮者・チェリストの斎藤秀雄の講義を纏めたもの。同著者の『指揮法教程』とは異なり、指揮ではなく「音楽」論が主に展開される。
「音楽」とは何か、何が大切なのか、改めて身につまされる。

堀江貴文『ホリエモンの宇宙論』

講談社。ホリエモンならではの夢に溢れた一冊。「太陽系をはるか離れて、星の海に人類が漕ぎ出す。なんともカッコイイ話じゃないか」という一文が全てを物語っているように思う。

『坂部恵 ―精神史の水脈を汲む』

水声社。二年前に亡くなった哲学者・坂部恵の思考に今を生きる研究者が寄せた多角的な論考集。巻末の付録に東京大学駒場キャンパスでの坂部助教授の1974年度「哲学史」講義概要(文科三類向け)が掲載されている。このキャンパスで学ぶものとして、40年前に行われたこの講義の様子に思いを馳せてしまう。

2011年 4月 3週目

評者:木許 裕介

馬場マコト『戦争と広告』

白水社。資生堂のデザイナー山名文夫を軸に、広告とデザインがどのように「時代」を担っていったかを描く快著。

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エドワーズ『宇宙旅行はエレベーターで』

武田ランダムハウスジャパン。エレベーターで月まで行ける日がいつか来るのかもしれない。

水林章『フィガロの結婚読解 ―暗闇の中の共和国』

みすず書房。モーツァルトの有名なオペラ「フィガロの結婚」はこんな話だったのか!と目を見開かせてくれる。

2011年 4月 2週目

評者:木許 裕介

内田洋子『ジーノの家 イタリア十景』

講談社。イタリアの人々の穏やかで心に触れる暮らしを、あたたかく優しく綴ったエッセイ。端正ながら温度のある文体、シンプルな装丁、何度も何度も読み返したくなる一冊。

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中谷剛『アウシュヴィッツ博物館案内』

講談社。決して感情的になることのない冷静な筆致から、アウシュヴィッツという歴史の残酷さが伝わってくる。

アベル・ポッセ『楽園の犬』

現代企画室。どこまでが冗談でどこからが物語なのか分からなくなる、フィクションの魅力に富んだ一冊。

2010年12月 4週目

評者:木許 裕介

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金森修『ゴーレムの生命論』

平凡社新書。ユダヤ教に見える「ゴーレム」、人間未満の存在。現代における「ゴーレム」とは何か、それと社会や倫理はどう関わるのか。生命倫理の入り口となる一冊。

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ジャン=クロード・エレナ『香水』

文庫クセジュ。エルメスの「庭シリーズ」やブルガリの「オ・パフメ」などを手掛けた調香師が語る「香り」という芸術の面白さ。

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桂川潤『本は物である−装丁という仕事』

新潮社。本を本として形作る「装丁」という仕事の意味。電子書籍が話題となる昨今だからこそ、物としての本が持つポテンシャルを考えてみたい。

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